オートレースドキドキコラム

なぜ、新人選手がすぐ活躍できるのか

2024年04月26日

養成所走行風景.jpg

◆新人選手がデビュー後すぐに活躍するようになった理由◆

 今年1月のデビュー以来、各地で大活躍している新人37期生。

 その中でも伊勢崎の浅倉樹良(伊勢崎37期・24歳)はデビューから13連勝と、現全国No.1の青山周平(伊勢崎31期・39歳)のデビュー連勝記録を塗り替えて優勝。その後も優勝を飾り、現在通算18勝優勝2回と、今から将来のスーパースターを予感させる走りで、すでにファンを魅了しています。小柄で眼鏡を愛用している浅倉の強さと穏やかさのギャップもまた魅力だ。

 また、浅倉と同期の福岡鷹(飯塚37期・23歳)と、森下輝(浜松37期・24歳)もデビューから白星を重ね、福岡は1着16回、2着なし、3着1回、着外4回、優勝2回。森下は1着16回、2着5回、3着なし、着外1回、優勝2回(いずれも2024年4月15日現在)と、デビューからわずか3ヵ月足らずでの快進撃に、驚かされている。

 更に1期先輩で、2023年度最優秀新人賞を獲得した栗原佳祐(浜松36期・26歳)と、優秀新人賞を受賞した吉林直都(浜松36期・25歳)も、デビュー直後から絶大なインパクトを残す走りを見せてきた。

 ロードレースから転向した栗原佳は、デビュー直後から衝撃のスピードを見せ、ハンデも新人とは思えぬ早さで重くなっていった。関係者の中には「すでに技量は新人のレベルを超えており、規定の2年間の2級車乗車期間を改訂し、1級車に乗せるべき」という意見が出る程であった。
 デビュー半年でSGオートグランプリの出場を決めるなど、現在まで1着32回、2着27回、3着19回、着外50回、優勝2回と新人選手としては突出した成績を収めている。

 吉林も昨年、デビュー2ヵ月後に初優勝を遂げると、同年10月、11月にも優勝を飾り、現在は1着36回、2着10回、3着11回、着外69回、優勝3回と優勝数では栗原を上回り、最重ハンの20m前という2級車としては過酷な条件でも健闘している。

 これまでの新人選手は、養成所で最優秀賞を受賞するくらいの選手でもここまで記録的な活躍は見られなかったが、近年35期デビューの佐藤励(川口35期・24歳)辺りから、デビュー直後にすぐに活躍するシーンが目立つようになった。

 要因は何なのか...

 振り返ると、今年1月に第37期生の卒業式を取材した際に、養成所での訓練状況を説明する書類に気になる項目を見つけた。それは...、

〇走行訓練映像システムの増設
 36期から取り入れた走行訓練の映像システム(3・4コーナー撮影)に、1・2コーナーを撮影するためのカメラを増設し、日々の走行訓練終了ごとに走行フォームの確認、落車事故の原因究明等に活用した。また、GPSロガーを競走車に装着し走行軌跡や最高速度到達点を確認するなど走行技術の向上に努めた。
とあった。確かにVTRにGPSがあった方が、技術の確認やレベルアップにつながるであろう事は容易に想像できる。

 そこで、養成所の小俣所長に「36、37期のデビュー直後からの活躍は導入されたVTRシステムによるところも大きいのですか?」と聞くと、

「そうです!今までは候補生に指導するときも、教官の感覚による話でイメージがしづらかった部分もあったと思います。そこを候補生とVTRを見ながら指導、修正したりできるのは、大きかったと思います」とのことでした。

 選手養成方法が年々進化しており、養成方法がアップデートされているのが、デビュー後に早い段階から活躍できる理由の一つだったのでした。

 オートレース業界では、現在ツートップと呼ばれる青山周平、鈴木圭一郎が、長くけん引しています。
 しかしここへきて、その牙城を崩せるのではないか、と期待を持てる新鋭選手の登場で、近い将来、群雄割拠の若手がしのぎを削り、大いに盛り上がるオートレースになるであろう事に、今からワクワク感が止まりません。


(文/金子)

 


 

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