オートレースドキドキコラム

2023年のSG戦線を振り返る(SG日本選手権まで)

2023年12月17日

 鈴木圭一郎の「スーパースター王座決定戦」2度目の制覇で幕を閉じた2022年のSGシリーズは、明けて2023年は2月の「全日本選抜」からスタート。


○「SG第36回全日本選抜」(2月22日~26日・浜松レース場)
 佐藤摩弥が6度目のSG優出、準決勝戦で青山周平を逆転した中村杏亮のSG初優出、永井大介の通算1300勝到達などトピックの多かった大会の総仕上げは鈴木圭一郎。初日から準決勝まで無敗の4連勝、枠番選択の決勝戦1枠を獲得するとレースでは10周回を独走。通算5度目の「全日選」Vは、史上単独2位の記録となった。
 優勝戦1着...鈴木圭一郎 2着...金子大輔 3着...伊藤信夫 4着...佐藤摩弥 5着...中村杏亮 6着...中村雅人 7着...荒尾聡 8着...永井大介


○「特別G1プレミアムカップ」(3月17日~21日・山陽レース場)
 前年から台頭しつつあった黒川京介・中村杏亮・長田稚也などの若手が、一段と勢力を伸ばしてきた大会。特に黒川は初日~3日目の3走とも本走3秒台をマークして注目されたが、4日目の準決勝戦でフライングを犯して失権してしまった。
 最終日5日目は1Rから雨で決勝戦も重走路。スタート飛び出した青山周平が1周1コーナーで車速の下がったところを金子大輔がイン交わして先頭も2周2コーナー立ち上がりでコースを外し、荒尾聡が首位を奪取。徐々に車間を拡げて残りの7周を逃げ切った。
 荒尾はSG優勝5度、勝利数は900を超えるなど輝かしい戦歴を持ちながら、プレミアムカップは意外にも初めての優勝。年末の「スーパースター王座決定戦トライアル」へ出場するために必要なポイントも、この時点で獲得できた。
 優勝戦1着...荒尾聡 2着...金子大輔 3着...青山周平 4着...若井友和 5着...高橋貢 6着...松尾啓史 7着...篠原睦 8着...鈴木宏和


○「SG第42回オールスター」(4月25日~30日・飯塚レース場)
 ファン投票によって出場選手が決まる大会。今年は佐藤励、横田翔紀、深谷俊太がオールスター初出場、新井日和、金田悠伽、信澤綾乃、石本圭耶がSG初出場。そして、落車事故から長期の療養を経て3週間前に実戦へ復帰したばかりの森且行が、堂々のファン投票第3位に選出された。
 4月から適用の最新ランキングでS1を陥落した鈴木圭が、史上最多タイとなる大会3連覇をめざして臨んだ今回は、車が仕上がらず整備にもがき苦むシリーズとなった。結果的に彼の追い風となったのは、前回大会から日程が延びて6日制開催に変更されたことかも知れない。従来なら閉幕していた5日目でなく、最終日「6日目」ギリギリにマシンの状態が急上昇。スタートで5番手あたりに付けると道中は青山周平に1度も前へ出させず、先行車を捌いて8周で先頭へ立ち、オールスター3連覇とSG開催3連続制覇のゴールへ飛び込んだ。
 なお、佐藤摩弥が女子レーサー史上最高&初めてのSG準優勝を果たし、初の女子SGレーサー誕生が一段と現実味を増してきた。
 優勝戦1着..鈴木圭一郎 2着..佐藤摩弥 3着..青山周平 4着..西原智昭 5着..金子大輔 6着..荒尾聡 7着..篠原睦 8着..角南一如


○「SG第27回オートレースグランプリ」(8月10日~15日・伊勢崎レース場)
 開催前から話題を集めたのは、鈴木圭一郎の自身2度目となるSG開催4連続制覇と、史上7人目のSG全冠制覇=グランドスラム達成なるかであった。
 決勝戦の枠番は、予選中の得点上位者から順に任意の番号を選んでいく方式。選択順トップの青山周平が1枠を選び取ると、選択順2番目の鈴木圭が5枠をチョイス。春のオールスターとは異なり準決勝戦を終えた時点で車の状態に好感触を得ており、内枠でなくとも勝てる自信があったからか。
 ところが決勝戦は、8名でただひとり試走2秒台をマークした鈴木圭のスタートが決まらず、1周1コーナーに先頭で進入した青山周が鈴木宏和の追撃を封じてレース後半は独走態勢。自身2度目のグランプリ2連覇、通算4度目の大会Vを達成した。
 黒川京介は5度目のSG決勝へ挑み、レース後半に鈴木宏を捌いて2着。2021年「スーパースター王座決定戦」と同様、青山周に対しては完敗だったが、栄冠の獲得は遠い将来ではない、そんな予感を多くのファンに抱かせただろう。
 優勝戦1着..青山周平 2着..黒川京介 3着..鈴木圭一郎 4着..鈴木宏和 5着..金子大輔 6着..佐藤貴也 7着..中村雅人 8着..篠原睦


○「特別G1プレミアムカップ」(9月14日~18日・浜松レース場)
 2022年は8月に「SGグランプリ」、9月に「ムーンライトチャンピオンカップ」と「プレミアムカップ」のG1を連覇した青山周平。今年もグランプリとムーンライトを優勝し、同じ流れを作れるか。
 3日目まで全勝し順風満帆かと思われた4日目の準決勝戦、青山周はゴール寸前に中村雅人の猛追を受けて2着に敗れた。決勝戦は枠番選択制。準決勝戦の1着選手から優先的に枠を選べるため、2着だった青山周の選択する順番は必然的に5番目以降となってしまう。4戦全勝の黒川京介が1枠を選択し、青山周は内枠を得られず5枠に。
 だがしかし、当時のランキングS1は優れた対応力を発揮する。黒川に続く2番手で発進した青山周は鈴木宏和に序盤イン突かれてしまったが冷静に再逆転すると、すかさず先頭の黒川を捌いて先頭へ。4度目の大会優勝を果たした。
 優勝戦1着..青山周平 2着..黒川京介 3着..佐藤貴也 4着..鈴木宏和 5着..中村雅人 6着..木村武之 7着..有吉辰也 8着..佐藤摩弥


○「SG第55回日本選手権」(10月31日~11月5日・浜松レース場) 
 6日制の長丁場で、初日から5日目までの道のりにも当然ドラマは数多くあったが、最大の分岐点は準決勝戦を突破した8名による0mオープン戦の枠番選択であった。選択順1番目の鈴木圭一郎が、夏のSGグランプリと同じ5枠をみずから選択。2番目の伊藤信夫が2枠、3番目の永井大介が3枠、4番目の長田稚也が4枠を選び取っていく。
 この時点でまだ、1枠が残っていた。準決勝戦を2着に敗れて選択を5番目まで待たざるを得なかった青山周平に、まさかのオープン戦の最内枠が巡ってきた。
 決勝戦のスタートが切られて、永井に続く2番手発進した青山周は、1周バックストレートで外から迫る鈴木圭を突っ張り、内から狙ってくる有吉辰也を抑え込むと、2周スタンド前で永井のインを捌いて先頭へ。残りの9周回を逃げ切り大会2連覇。4度目の日本一の称号を獲得した。
 なお、SG開催+プレミアムカップの優勝戦の成績で与えられるポイント数によって決まる「スーパースター王座決定戦トライアル」の出場権利争いも結果が出て、高橋貢が中村杏亮・篠原睦・角南一如を逆転してトライアル16名に名を連ねることとなった。
 優勝戦1着..青山周平 2着..鈴木圭一郎 3着..永井大介 4着..長田稚也 5着..高橋貢 6着..有吉辰也 7着..佐藤摩弥 8着..伊藤信夫


☆「スーパースター王座決定戦トライアル」(12月27日~31日・川口レース場)出場予定16名
 鈴木圭一郎 青山周平 中村雅人 有吉辰也 松尾啓史 金子大輔 佐藤摩弥 黒川京介
 荒尾聡 永井大介 伊藤信夫 鈴木宏和 長田稚也 西原智昭 佐藤貴也 高橋貢

 

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